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居酒屋 風霞

居酒屋 風霞

笑いについて

人間の心理状態において、「笑う」と言う事は
どう言うことなにか、笑いは欝に対してどうなのか・・・
笑い・・その正体はいかなるものか・・・

<「笑い」について ~「笑い」を分析する~>
~笑いの正体とは?~
進化論的見解は、

動物としての攻撃性が変化したもの
社会的動物が、ほかの個体に対して融和の表明をするときの方法
余剰エネルギーの調節

何らかの戦略的メリットがあって、笑う個体が笑わない個体を駆逐して子孫を
残したと考えるのが進化論的見解である。

精神分析的立場では
歯をむき出すことは攻撃的側面を持ち、笑うことによっての快い感じは
不安の解消、性的誘惑の表明となるとしている。

神経症学的研究からは
「悲嘆、オルガズムとともに人々の日常生活に共通して見られる発作性行動」と
している。

医学的立場では
笑いはコントロールすることができないというところから「異常」というように
とらえられている。


~笑いの理論的定式化~
(弘文堂社会学事典より)
執筆者自身の笑いの理論として
「笑いはよいことでも悪いことでも、自分にとっての位置づけを意味のないものに
 してしまう」とされている。
たとえば、仕事中に上司のズボンのチャックが開いていたとする。
仕事中という公的な場所で、ズボンのチャックという極めてプライベートなときにしか
開かないものが開いている、それがたとえ、いい上司でも嫌いな上司でも
(ここが自分にとっての位置づけ)現実感がなくなり笑えるということになる。
また、なにかを笑うということはその現実感がなくなるということ、そしてそこから
「ウソ」だと知ることにもつながり、人や権威が笑われるのを嫌がる理由が
それらしく取り繕っているだけの「現実」が空っぽのものだったとばれるのを
恐れてのことだという。
笑いは社会的現実を崩壊させる劇薬であると言える。
新聞にはたいてい風刺が載っていて、それを見て笑えるというのも劇薬の効用なのかも
しれない。


~笑うことはいいこと?~
倫理学の立場から見ると、プラトンやアリストテレスは笑うことは滑稽で劣悪であると
考えていた。
中性のキリスト教教会でも、イエスがこの地上で笑わなかったことを理由に
笑いを罪としてきた。
しかし、彼らは知識階層の人間であり、民衆レベルでこの考えが浸透していたとは
考えにくい。
デカルトやホッブズも、笑う人の小心さや虚栄心などに注目して笑いを道徳的に
悪いものだと考えた。

<「笑い」について著書を残しているベルクソンの意見>
社会を構成している人の間では精巧なバランスがあって、滑稽さというものは
このバランスを崩すものだとし、この滑稽さを笑うことによって、瞬間的に屈辱を
与えて、このバランスを矯正する、それが笑いの役割だと考えた。
笑いを社会システムの作用としてとらえている。

日本でも、女性が笑うときは手で口元を隠す習慣があったことから、公式の場面では
笑いは排除されていると考えられる。
無制限に笑うためには花見や宴会などの、笑うための場を設けることが暗黙の
ルールだった。

~現代思想は?~
フロイトは、機知や駄洒落を取り上げて、そこから生まれる笑いは認識のために
利用される「心的エネルギー」の節約が引き起こす一種の発作であると考えた。
バタイユは効率や有効性の観念によって支配される現実社会からの逸脱であり
真の人間性への解放であるとした。


~笑って自信を取り戻す~
日本民族事典を見てみると、笑いとは本人に取っては自信の誇示となり、相手に対しては
軽んじたり、攻撃したりする意味を含む表現が笑いだったとしている。
日本人が意味なく笑う民族だと言われるのは、弱みを相手に悟られまいとするところ
から、無理に自信があるように見せている傾向があるからだとされている。
また、人から笑われるような人間になるなとしきりに教育を受けてきた歴史があり、
笑われることは攻撃されることになると言う考えがあったからだとしている。

昔の笑い話が民衆に好まれてきたのは話の中に登場する人物を笑うことによって
多少の自信を取り戻せるとした見方もある。
現在はお笑い芸人がたくさんテレビに出ているが、北野武氏が「昔は芸人は笑わせる
ものだったが今は笑われるものとなっている、それたとても嫌だった・・・」と
話していた。
相手を窮地に追い込んで、その慌てふためいたりや恐怖におののく様子、言動を
見て喜ぶ。
子どもはテレビの影響を受けやすく、日常生活の中でも何年か前に「そうしきごっこ」
などという、テレビの中の冗談にもならないようない卑劣ないじめが起きた。
テレビのお笑いの質というものを考え直す必要がある。

大衆文化事典では、笑いの参照項目として、ウイット、ギャグ、漫才、ユーモア、
落語などほかの事典では考えられないくらい大量に書かれていた。
笑いは広く「大衆文化」と関わっている分野であることが分かる。

「笑い」というと笑って病気を治したり、笑うことによって気分がすっきりしたり
するため、いいイメージを持っていたが、捉え方による毒のある笑いや皮肉った
笑いも存在する。
普段意識することもない笑いだが、今と昔でもその捉え方は正反対であり興味深かった。




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